2021年度

 JBCCは 2021年で12回目を迎えました。昨年に引き続き、新型コロナウイルスの影響を受ける中、リアルとオンラインの良さを合わせ、大会初となるハイブリッド形式での開催をいたしました。今年のJBCCでは、国内外のビジネススクールから、大会史上最多タイである全国25校に、そして、大会史上最多である 215チーム、999名の現役MBA生にエントリーいただきました。ケース課題には、こちらも大会初となる創業期から成長期フェーズを扱い、各参加チームは、実在の新技術を活用した金属粉末の開発・製造・販売を行う 大学発ベンチャーのCEOとして、今後の短期・中期・長期戦略に関する戦略提言を行いました。そして 10月17日の本選大会では、7~8月に実施した予選を勝ち抜いた全国6校 20チームがセミファイナルを戦い、見事に勝ち抜いた5チームがグランドファイナルに進出し、周到に準備されたプレゼンテーションと、豪華な審査員8名と手に汗握る質疑応答を繰り広げました。
実施 2021年10月17日(日)

YouTube Live 配信(中継会場:グロービス経営大学院 東京校

【セミファイナル】Zoom会場(オンライン形式)

【グランドファイナル】グロービス経営大学院 東京校 1F グロービスホール*とZoom会場(ハイブリッド形式)

JBCC2021実行委員会

文部科学省、経済産業省、日経ビジネススクール、

国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構、中小企業基盤整備機構

参加

【予選】25校 215チーム 999名

【本選】6校 20チーム    

来場

セミファイナル(YouTube Live)当日合計視聴者数 2,530名

グランドファイナル(YouTube Live)当日合計視聴者数 1,222名

計 3,752名

総再生回数 / 再生時間

2021/11/07 時点

累計総再生回数 13,192回

累計総再生時間 4,162時間

特別協賛

株式会社 経営共創基盤 (IGPI)

協 賛

※順不同

株式会社 日本経営

株式会社メトロアドエージェンシー 

池田朋弘のリモート仕事術

株式会社クリペ 

株式会社グローバルインフォメーション 

Cross Border Learning合同会社 

スクエアワン株式会社 

GMOリサーチ株式会社 

株式会社トリプルバリュー

株式会社 中島商会 

株式会社PANDASTUDIO.TV 

株式会社ファーストデコ 

株式会社Milkyways 

株式会社インスプレース 

株式会社キューブアンドカンパニー 

株式会社GIRON 

倉島事業開発株式会社 

株式会社コーポレイト ディレクション 

3BOOKS株式会社 

ディーテラー株式会社 

株式会社ダイヤモンド社 

株式会社 ドリームインキュベータ 

株式会社日本創生投資 

ビズアクセル株式会社 

Hiyoura-Lab(ヒヨウラ・ラボ)

リアルテックホールディングス株式会社 

特別協力

グロービス経営大学院

協 力

※順不同

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科

フットサルカフェ・ケル

ケース作成協力

※順不同

株式会社経営共創基盤 (IGPI)

株式会社グローバルインフォメーション 

立命館大学 理工学部 飴山 惠  特別任用教授

静岡大学  工学部  機械工学科 菊池 将一  准教授

 

 ※当日の会場(グロービス経営大学院)につきまして、通常は一般貸出を行なっておらず、今回特別にご協力をいただいております。大学院事務局にお問い合わせをいただきましても、学外活動等でご利用いただくことはできませんので、予めご留意くださいますようお願いいたします

本選の結果

セミファイナル出場チーム(エントリーNo順)

Aブロック

No.082 グロービス経営大学院 東京校・オンライン校 塚田裕毅チーム

No.110 グロービス経営大学院 名古屋校 西谷政彦チーム

No.133 一橋大学大学院 鈴木奨チーム

No.135 慶應義塾大学大学院 原田勲チーム

Bブロック

No.015 グロービス経営大学院 東京校 長谷川峻士チーム

No.032 グロービス経営大学院 名古屋校 白井宏一郎チーム

No.183 青山学院大学大学院 毛利拓也チーム

No.195 京都大学大学院 阪田哲史チーム

Cブロック

No.002 グロービス経営大学院 東京校 中川知典チーム

No.026 グロービス経営大学院 東京校 平田真子チーム

No.068 一橋大学大学院 青山顕チーム

No.182 グロービス経営大学院 東京校 田村朋子チーム

Dブロック

 No.003 グロービス経営大学院 東京校 矢吹勇人チーム
No.036 グロービス経営大学院 東京校 宮澤匠チーム
No.114 グロービス経営大学院 東京校 藤田賢徳チーム
No.126 一橋大学大学院 池田裕城チーム

Eブロック

 No.007 立教大学大学院 有待亮佑チーム
No.074 グロービス経営大学院 大阪校 上原康裕チーム
No.081 グロービス経営大学院 東京校 西田順風チーム
No.148 慶應義塾大学大学院 首藤翔平チーム

 

※発表順は事前の抽選により決定しました。  

赤字が1位通過(グランドファイナル出場)チームです。

本選当日の様子

9:00 - 9:15  開会式

9:15 - 12:15  セミファイナル

12:30 - 18:00  グランドファイナル

受賞チーム

優勝・文部科学大臣賞

日本経営 ゴーイングコンサーン賞 / トリプルバリューエンゲージメント

グロービス経営大学院 東京校 平田真子チーム


  この度は優勝・トリプルバリュー エンゲージメント賞・日本経営 ゴーイングコンサーン賞に選定いただき、誠にありがとうございました。今回、私達がこの様な結果を残せたのは、GLOBISの講師の皆様、事務局の皆様、切磋琢磨し合える学友、インタビューにご協力いただいた皆様のおかげです。心より感謝申し上げます。

 またお忙しい中、ご講評いただいた審査員の皆様、大会運営委員の皆様、協賛企業の皆様にもこのような学びの場を提供いただきましたこと、御礼申し上げます。

  今年のケースで最も苦労した点は、そもそものケースを理解することでした。なぜなら、ケースはベンチャー企業。フェーズは創業期から成長期であり、更に参入が難しいハードテック領域であった為、ケースを読み解くことも困難でした。その為、まずは技術シーズの理解からスタートし、チーム内の認識をそろえることに注力しました。結果、チーム内の基盤が整い、スムーズかつ白熱した議論を重ねることができました。

 工夫した点は、インタビューによる解像度の向上です。外部分析・内部分析・打ち手の選定と進めるにあたり、業界のさまざまな方へインタビューを重ね、アドバイスをもらいました。この点が、審査員の皆さまに講評いただけた「具現性」につながったのだと感謝しております。

  この具現性に向けて、チームメンバーの誰一人、妥協をしなかったという点がわれわれの大きな強みであったと思います。そのため、議論が深夜に及び疲労を感じることもありましたが、チーム(コミュニケーション)WAYである

 ・楽しむ・笑う・ユーモア忘れない

 ・リスクなし・意見のぶつけ合いはOK

 ・お節介して、切磋琢磨しよう

 を実践しながら乗り越えることができました。JBCCはチーム戦なので、お互いをリスペクトして励まし合いながら頑張れたことも、成果につながったのだと感じています。

  今後もJBCCが、ビジネススクール生の成長と学びの機会になり発展していくことを願っております。この度は貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。

準優勝

グロービス経営大学院 名古屋校 白井宏一郎チーム


 この度は準優勝にご選出いただき、誠にありがとうございました。JBCC審査員・実行委員の皆様を始め、大変貴重で贅沢な機会をご提供、ご支援していただいた皆様に感謝申し上げます。

 今回のケースは、昨年までと異なりベンチャー企業が題材ということで、まずはメンバー全員が意表を突かれたことを覚えています。そして、これまで以上に戦略と打ち手の方向性が多岐に渡り、初めは何をどう考えていいのか大変悩みました。そんな中でも私達のチームは、大学院で学んできた経営の定石・セオリーを通してケースを見ることを重視して挑みました。”調和組織構造と金属粉末”の特異な状況を、定石に当てはめて議論できたときには、その威力の大きさを、身を以って感じることができました。

 その一方で、全力で挑戦したからこそ、自分達の限界とそこに足りなかった視点を知ることもできました。私達のチームに頂いた『夢を、もっと夢を!』という素敵なチーム名は、端的にその課題を表していただいたと思っております。地上戦を越えたレイヤー構造での自社の捉え方、そしてVCの期待への対応などの視点は、実践でも役立てていきたいと思います。

 チームビルディングでは、どのチームでも一度は経験することだと思いますが、私達にも崩壊の危機が訪れました。メンバー各々が相当な無理をしながらの挑戦で、JBCCに十分な時間を割けないこともあったからです。そんな中、「なぜ挑戦しようと思ったのか?何を得たかったのか?各自が問い直し、自分がどう貢献できるのか考えよう」という議論をし、危機を乗り切ることができました。そして終盤では、各自が各々の強みでリーダーシップを発揮しており、このメンバーでなければ今回のような結果を得ることはできなかったと感じています。

 最後にはなりましたが、これまで応援し支えていただいた大学院関係者・友人・家族の皆様に、改めて心より感謝を申し上げます。また、今後もJBCCという大会が、日本のMBA生が切磋琢磨し、素晴らしい学びを得る場となり続けることを願っています。貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。

DIAMOND・ハーバード・ビジネス・レビュー賞

一橋大学大学院 鈴木奨チーム


 この度はDIAMOND・ハーバード・ビジネス・レビュー賞にご選出いただき、誠にありがとうございました。審査員や運営実行委員会の皆様、応援してくれた家族と友人の方々に心から感謝いたします。

 さて、私たちは、今年の春からMBAの勉強を始めた修士1年のチームです。チームメンバーの5名のうち3名は、実務経験のない新卒学生になります。このようなメンバー構成でも、名誉ある賞を受賞することができたのは、大学院での学びを忠実に実行した結果だと振り返っております。大学院の先生方には、感謝してもしきれません。

 受賞に至るこれまでを振り返ると、困難の連続でした。大学院での講義や課題に加えて、仕事や子育て、就職活動準備など、メンバー各々が個人の予定を抱える中で、チームの打合せは、オンライン形式にて実施しました。皆が納得いくまで議論を尽くした結果、打合せは深夜に及ぶことも多くありました。コロナ禍の影響で対面での打合せが限定的であったため、コミュニケーションを取り合うことに苦労しましたが、何とか本選当日までたどり着くことができました。

 また、今年度のケースは学びの多い内容でした。技術力に立脚した大学発ベンチャーが題材であり、「シーズ」はあるものの「ニーズ」を掘り起こす必要がありました。まさに、足元の時勢を反映しているケースであり、どのような打ち手を展開すべきか、皆で頭を悩ませました。ケースで培った頭の動かし方は、今後の実務にもぜひ活用していきたいと思います。

 今後もJBCCがビジネススクール生の成長と、日本企業の発展を後押しする場になる事を願っております。ビジネススクールに通う、あるいはこれから通うこととなる方々は、自身の学びのアウトプットの場としてぜひJBCCへの参加をご検討ください。繰り返しにはなりますが、この度は貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。

日経ビジネススクール賞

グロービス経営大学院 東京校 矢吹勇人チーム


 この度は日経ビジネススクール賞に選出いただき審査員の皆様には心から感謝します。我々は矢吹勇人、高野秋、長瀬拓、林由之、松本章吾からなる1年生チームです。個性豊かなメンバーがそれぞれの得意領域を活かしながら、仕事や家庭も両立しながら、何とか皆が納得する戦略を作り上げることができました。その戦略が賞という形で認められたことを本当に嬉しく思っています。

 この賞を受賞するまでにはたくさんの方々の支えがありました。家族、友人、職場、そしてグロービスの仲間に応援してもらい、それが受賞の原動力となりました。またベンチャーピッチがテーマということもあり、多数の顧客インタビューを実施しました。インタビューを引き受けてくださった皆様にも感謝します。

我々のチームのキーワードは「CEO長谷川だったらどうするか?」でした。スタートアップというリソースが圧倒的に足りない状況の中で、この技術を社会に広く浸透させるにはどうすればいいのか、という思いを持つCEOに憑依していました。理で考えた戦略に情熱を添えた今回の戦略はリアリティという面ではどこにも負けていなかったと思います。

 しかし、優勝を目指していただけに、悔しさも残る結果ともなりました。我々の戦略のコアとしていた用途開発とライセンスビジネス戦略において、優位性構築のためのリスクとその対策を伝えきれなかった点は特に後悔が残ります。今回賞をいただいたという自信と、優勝を逃してしまった悔しさをバネに、今回のスタートアップらしくJカーブで大きく成長していきたいと考えております。

 最後に、この素晴らしい大会を運営してくださった実行委員会の皆様にも深く感謝申し上げます。JBCCが今後も発展していくことをお祈りいたします。


審査員講評

株式会社 ドリームインキュベータ 執行役員 石川 雅仁 様

 皆さんお疲れ様でした。グランドファイナルに出たチームは本当に基礎的には申し分ないと言いますか、すべてのチームがその点はケアがバッチリできているということで審査は非常に難しかったです。個人的な見解ですが、私がどの辺りに注目をして、審査をしたり、話を聞いたりしていたかというのをお話させて頂くと、3つあります。

 1つは、ベンチャーですのでやっぱりリソースに制約があるんですね。となると、一点突破するなり、仲間づくりをするなり、その辺りが大事になってきます。仲間づくりについては皆さん色々なことを言及されていたんですけど、実はそこには更にその先があって、その仲間をどういう風にマネジメントしていくかというのが意外と難しいんですね。その辺りにまでに言及していただけると、非常に面白いプレゼンになったのだろうなぁという風に思います。

 2点目。多分、ここまで皆さん相当時間をかけてこのコンテンツを作ってきたのだと思いますが、プレゼンしたのはその中のほんの一部だと思うんですね。なので、そのプレゼンテーションがどう面白いか、どうユニークネスがあるか、みたいなところはやはり重要になってきます。その裏で色々なことをやってきていただいているのは我々も百も承知で見ていたので、その中で何を尖らしてくるかというのは非常に大事だったんだろうなぁと。なので、プレゼンの中で、どこに「押し」があるかというのを比較的「押し」たチームの評価が高かったのかなという風に思っています。

 最後、今回のお題の特質なのかもしれないのですが、もう少し大きく出たチームがあっても良かったかなという風に思っています。特にVCから調達みたいな話が出てくると、それなりにアップサイドの大きさみたいなところがやっぱり重要になってくるので、そこに対して夢の大きさというか、その辺があるとさらに良かったかなという風に思います。

 ただ、どのチームも素晴らしい発表だったと思います。ありがとうございました。

 

株式会社 日本経済新聞社 専務取締役 渡辺 洋之 様

 皆さん、お疲れ様でした。そして優勝した平田チームの皆さん、本当におめでとうございます。

5つのチームのプレゼンを聞かせていただきましたが、審査にあたっては、もうある水準を超えているので、選ぶときはだいぶ趣味に近くなるんじゃないかって話をしていたぐらい、本当にレベルが高かったと思います。素晴らしかったです。

 私はどんな観点で見たかと申し上げますと、やっぱりベンチャー企業である。私はどちらかというとIT業界を30年以上取材していて、そういう企業ばっかり見ているので、やっぱりR&Dでやるのか、それとも自分でやるのか、どういう形で尖ってそれをかつ両立させるのか、あるいは片方に寄せていって会社のポジションを取っていくのか、そのバランスと判断みたいなところがあるのかなと思っています。そういうことを考えていく中で、評価もそれぞれ素晴らしいものでありましたし、平田チームの皆さんに落ち着いたというところも頷けるのかなと思っています。

 ただ経験上申し上げますと、意外と思いましたのは、皆さんのコメントでもありましたけど、調達額ってそんなものでいいんでしたっけ?と。製造業ですよね?みたいなとこがありました。私、実は1990年代の真ん中ぐらいから終わりぐらいにかけてシリコンバレーに駐在していて、ジョブズがアップルに戻ってきた記者会見とか出たりして、取材していました。その頃に何が起こっていたかというと、私と仲が良かった会社が起業したんですけども、VCから集める前によく通ってたゴルフ場で1億集めて起業して、そのまま実は当時のネットスケープと並んで赤字上場の2つのうちの1社になったっていうような話でした。そう考えると、本当はもうちょっと「お金ちょうだい」って言ったほうがいいんじゃないかなっていうことを正直思いました。

 私も大学時代に理科系だったのである程度は分かっているつもりなんですけれども、製造業の重さってあるので、本当はもっとお金っていっぱいあった方がいいんじゃないかなと。今回はあまり言及なかったけれど、本当はエンジニアの確保って実はものすごい大変なので、そういうところも含めたら本当はもっともっとお金が必要なんじゃないかなと思いました。

 この辺りはみなさんの謙虚で確実で理解力のある正しさみたいのがあるかもしれないけれど、ひょっとしたら日本の状態を表しているのかなっていう気もしまして、是非これにとどまらず、皆さんがこれからCEOを目指して、あるいは起業家を目指していくんだとすれば、そういうところも含めて大きな刺激を与え続けていただければという風に思います。本当にご苦労様でした。ありがとうございました。

 

経済産業省 新規事業創造推進室長 石井 芳明 様

 今回のテーマは大学発ベンチャー、スタートアップの選択ということで、大変興味深く聞かせていただきました。ありがとうございました。

 岸田新総理の所信表明演説で、『イノベーションの担い手のスタートアップの徹底支援』という言葉が入っていましたが、我々政府としてもスタートアップの支援を今も強化しておりますし、これからも強化しようと思っているところであります。そしてその中で、グローバルに成長する、大きく伸びるベンチャーを育てていこう、そういった時に何が必要か。

 1つは大きな資金調達なんですね。それからもう1つは、大学はじめテックシーズの事業化、これが大きいのではないかと思っております。医療、ロボ、モビリティ、あるいは環境、マテリアルのような、日本の技術は非常にいいんだけれども、まだまだ事業化されていない部分を事業化する。これによって、世界で勝てるスタートアップが出てくるのではないかという風に思っています。

 そういう意味で、今回の大学の研究室からの事業化のテーマ、まさにタイミングを得た非常に良いテーマで、それに皆さんのいろんなプランを考えて頂いたっていうのは大変意義深いものであったと思います。ファイナリストのみならず、参加者の皆様のプラン、素晴らしいプランが多かったと思います。是非そのようなプランがさらに伸びて、実際の大学の事業の研究成果の事業化が進めばいいなという風に思っております。

 それからもう1つ、今日はプランのコンペティションということだと思いますけれども、私、現場を見ていますと、やはり事業化の段階のオペレーションが非常に大事だと思っています。刻々とする変化にどのように対応していけるか、そういったことも重要だと思っております。その意味で、引き出しを多く持つことっていうのは大事だと思いますので、MBAの学生さんしっかり勉強して頂いて、引き出しの多い、変化に対応できる、しかも戦略プランをきちっと練る、そういった方々が増えていけばいいなという風に思っています。MBAの皆様のご活躍に期待を申し上げまして、私のコメントとさせて頂きます。どうもありがとうございました。

 

株式会社ダイヤモンド社 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー論説委員 大坪 亮 様

 皆様、お疲れ様でした。私は今回6回目のグランドファイナル審査員を務めさせていただいたのですが、まず思ったことは、実行委員会の皆さんが今まで以上に頑張ったなということです。コロナ禍という厳しい環境下にも関わらず、大会全体としての質の向上や参加校・チーム数の増加などいろいろな形で、それは現れています。また、石井委員もお話されていましたが、テーマが大学発ベンチャーで、非常にタイムリーなものであると思います。日本経済、なかなか成長戦略がうまく機能しないというか、見えない中で、大学発ベンチャーには期待が高まっています。参加チームの皆様は今回、このケースを真剣に研究されたわけですから、何とかこれを機会に起業に挑戦していただけたらすごくいいなということを勝手に考えます。

 さらに、ビジネススクール。これも日本の潜在力を顕在化する大きな力ですので、皆様益々頑張って欲しいです。

 もう1つ言いますと、これも実行委員会の方々が頑張ったおかげだと思いますが、参加校の幅が広がったなと感じます。この傾向が今後ますます強まることを期待します。

 ケーススタディの内容は、ここ6年間で最も練られている印象で、私にとってはとても難しい課題でした。このケーススタディを作られたスタッフの方も本当にお疲れ様でした。どうもありがとうございました。

 

株式会社モルテン 代表取締役社長 最高経営責任者 民秋 清史 様

 本日はありがとうございました。私も他の審査員の方々と同じように、全体的な質は高くて皆さんに大きな差はほぼ無かったというところで、2点だけ。

 1つは組織能力に関してです。いくつかのチームは製造に出ていくといった時に、今ある会社ってやっぱり研究開発の会社だよね、と。そこで製造をやるというと、全く違うことをやるというところで、どうやって組織能力を開発していくか、人材を調達するか、育成していく、マネジメントしていくっていうところの点はもうちょっと踏み込む必要もあったかなという点です。あとはキャッシュフローの問題で、製造業ってめちゃくちゃ金がかかるので、金型で10億とかってざらにある話でして、ここを本当に研究開発と同じことでキャッシュフローでどうするのかなっていうところをもう少し見ても良かったかなという点です。

 もう1つは本当に他の方々と一緒で、やっぱりスケールが小さいなと感じました。皆さんご存知のとおり、4000万とかってもうクラウドファンディングで集まっちゃう時代というところで、ベンチャーキャピタルを呼んで「あ、これぐらいか」というところは、やっぱり私も含めて日々経営の中で飛躍できないなというのが日本全体の課題だな、と。日本の賢い人が集まったビジネススクールのコンペティションのトップでこれかということは、私も本当に反省したなというところです。私も製造業なので、今回の世界にない素材というテーマ、そうしたものの開発、「絶対売れるな」っていうものを手にした時にどれぐらい勝負するか。これほどの素材や緩急のテーマで開発できた製品は何回もない、自分の人生であと何回あるんだろうなっていうその手札がきた時にどれぐらい勝負いくかっていう時に、皆さん勝負できたかなというところで、来年もあるような感じの新製品みたいな感じで扱ってないかなというところはちょっと感じました。これは私の自戒も含めて。普段は結構ケーススタディで大きな企業やるんですけど、やはりベンチャーというテーマで、皆さんが挑む上での狂気といいますか、「これ狂ってんな」っていうチームが1つもなかったっていうのは、やっぱり全体感として打破しなきゃいけないなというのを感じました。以上です。皆さん、お疲れ様でした。

 

三菱マテリアル株式会社 執行役社長 小野 直樹 様

 皆さん、大変お疲れ様でした。今回、私自身はこの審査員に初めて参加させてもらったんですけれども、テーマが私が身を置いている業界に非常に密接なテーマなので、大変興味を持ってワクワクしながら、皆さん方のプレゼンを聞かせていただきました。いずれも大変よくまとまった内容でありまして、こんなに今の日本の若いビジネスマンというのはしっかりしている方たちが多いんだなということを、非常に頼もしく思った次第であります。

 先ほど来、審査員の方々から少しその規模感というか、スケールがちょっと小さいんじゃないの?っていう話もだいぶ出ておりますが、1つには、私はその技術自体の捉え方が少し小さいところに入り過ぎてしまったのではないかなという印象を持っています。つまり、今回の調和組織構造、これを生み出す元になっているのは表面処理強化というところにあるという観点で言うと、どの元素、どの金属を組み合わせるかという1つ手前にも、大きな広がりを持つ要素があるんじゃないかなと。そんなところを広げていくというのも1つあったのではないのかなという風に思いました。

 それからいずれにしても素材のベンチャーとなりますと、やはりバリューチェーンのどの範囲を自分たちでやるのかっていうことを決めていく、非常に難しくて答えのない世界という課題だったんだと思います。けれども、経営者というのはやっぱり答えのないところに答えを出していかなきゃいけないという立場にあると思いますので、皆さんにとっては大変苦しいところがあったかもしれませんけれども、良い題材で良い経験ができたのではないのかなと思います。

 その中でもう1点コメントをさせて頂きます。バリューチェーンといった時に、素材の開発からそれを様々な製品に展開するというところが主体だったと思うんですけれども、もう1点、例えばリサイクルっていうことも今後のビジネスとしては視野に入れてくるべきではないかなと思います。つまり、この素材をリサイクルできるような素材として世に出していく。それによって、多くのプレゼンでもありました原料調達にかかわるところのリスク、原料そのものを量的に確保できるのか、それから価格の変動にどう対応するのか、そういうところもどこかの時点ではリサイクル原料としてカバーしていく。そんな視点も入ってきても良かったんじゃないかな、そんなことを思った次第です。

 いずれにしてもこれから皆さん方が、日本のビジネス、あるいは世界に羽ばたいていくビジネスを支えていくということを実感できたということで、大変頼もしく思った次第であります。本日はどうもありがとうございました。

 

株式会社経営共創基盤 共同経営者 マネージングディレクター 木村 尚敬 様

 皆様、大変お疲れ様でございました。私はJBCC2021キックオフDAY1から携わっておりまして、ケース作成含めて、それから予選含めて参加させていただいておりますので、全体でのコメントをさせて頂ければと思います。

 今回エントリー215チーム、総勢999名ということで、史上空前の規模になりました。JBCCもお陰様でここまで大きくなったのも私も嬉しい限りです。前半の5回目ぐらいまでは、再生のターンアラウンドのテーマが多く、マイナスを0に戻すというところで割と答えが出やすいテーマだったんですね。それから大企業のグローバル戦略ですとか、成長戦略の方に舵を切り始めまして、比較的答えがバラ付き始めるような形になってきた。今回はベンチャー企業ということで、もっとフリーハンドに何でも考えられるというような形に思いっきり振りました。実はこうなると、ひとつだけ無いのが「事業計画」なんですよね。過去のケースでは5年先ぐらいまでのPLの予測計画があって、皆さんそれを元にいろいろシミュレーションされたりする、今回はそれもないという新たな試みでやりました。お陰様でバラエティーに富む色々なアイディアが出てきまして、そのため、我々も選考や審査で非常に苦労したところです。そういった前段を踏まえまして、内容に入っていきたいと思います。

 まずビジネスモデルですね。多くのチームがやっぱり地上戦で考えられていて、地上戦というのは川下の出口ですよね。例えば義足ですとか、それからインプラントですとか、いろいろな出口で要は川下の方で考えられていたんですけど、これいわゆる「地上戦でメーカーをやります」という発想なんですけども、一方で小野さんがおっしゃっていただいたとおり、この技術っていうのは素材に対する表面強化処理なので、割とホリゾンタルなんですよね。そうすると、どこのレイヤーを取りにいきますかっていう議論を考えていくチームがもっとあっても良かったのかなという風に思います。どうしても縦の発想、垂直立ち上げ型の発想でいきますと、やっぱり一つ一つの市場を狙ってやってみるとそんなにスケールはしないし、これ本当に製造までやるんですかというと求められるスキルも違うし、かかるお金も変わってくるわけです。そうなってくると、当社が持っている技術で一番レバレッジしてスケールさせられる、競争優位性を保てるレイヤーはどこなんですかっていう議論はもうちょっとできればよかったかと思っています。

 今回、2つ大きなトラップを入れています。1つはわざと川下の業界を見せて垂直な方向に目を向けさせるというものです。今回のケースに限らず、日本企業があまり得意ではないのは、やっぱりどうしても垂直に、バーティカルにいこうとすることなので、いかにホリゾンタルというか、レイヤーを構造化して捉えられるかというのが1つ目のポイントですね。

 それでそれをやる上では市場の全体像を見ていかなければいけなくて、白井さんのチームが代替していく素材とか分析されていましたけども、今ある素材を代替するというものもあるし、今は使われてないところで使われる用途というのもあるはずです。そうすると市場の全体というか、自分たちの持っている技術が適用される風呂敷がどこまで広く広がるのか、その全体像を捉えた上でどう攻めていくのかということが考えられると良かったのかと思います。

 3つ目のポイントは、短期から長期の目線でいくのか、逆に長期から戻して短期にいくのかという話ですね。2つ目のトラップは、わざとちょっと売上を上げている形にして利益が出てない状況のPLがあります。そのため、皆さんやっぱり短期的な改善というところに目が行きがちだったんですけれども、先ほど申し上げた、長期的な割とスケールするビジネスモデルを作ろうとすると、今の上がっている売上っていうとサンプル出荷かもしれないし、あんまりそこにこだわる必要はないわけなんですよね。なので、長期から引き戻してどうしたらいいのかというところをどう考えるかというところがポイントになってくるという点がありました。そういう意味では、相手にするお客さんは、この平田さんチームが分析してくれたアドバンテージマトリックスであったように、実はお客さんはそれこそ三菱マテリアルさんとか、JFEスチールさんとか、そういう人たちを相手にどういうビジネスにするかというところかなというふうに思います。

 1番いいモデルというのはライセンス型ですよね。だから、この強化処理をするのに秘伝のタレみたいなものがあって、「コーラの原液モデル」って呼んでますけれども、それを渡せば彼らが表面強化処理もやってくれる。ただこの原液の中身は絶対教えないというビジネスモデルもあるでしょうし、逆に原液のものがなくて製造ノウハウにプロセスがあるとするならば、ある程度の設備投資をして、自分たちで表面処理は引き受けますよというところまで行うビジネスモデルもあるかもしれません。いずれにしろ、どこでどうやってお金を稼ぐかというところを考える必要があります。

 4点目は最後、お金の調達の話です。この大きなビジネスモデルを描かないでバーティカルにいくと、やっぱりどうしても今最初の立ち上げは義足でいきますとか、最初の立ち上げは何とかでいきます、だからこれぐらいの製造設備が必要なのでってなると、やっぱり4000万、5000万、1億、2億の話になっちゃうんですよ。だからどれだけでかい大風呂敷を広げて、どれだけスケールさせてっていうところが、やっぱりVCと付き合う上でも重要なポイントになってきますので、その辺りをどう考えられるのかなというところかと思います。

 特にビジネススクールの皆さんは、いわゆるリスクファクターをディスカウントしていくというか、ディスカウントキャッシュフローの考え方っていうのはすごく染み付いていると思うんですけれども、逆にベンチャー投資の場合は不確実性、要はボラティリティーがあればあるほど企業価値が上がっていきますので、その意味で言うと、その不確実性と企業価値の関係を捉えてどれだけ広い、夢というか事業構想を描けられるかというところの勝負だったかなというふうに思います。

 最後は毎年申し上げていることですけれども、今回このケースにあたって皆さん相当の時間と熱量をかけていると思いますけれども、是非同じ時間と熱量を毎回のすべてのケースに使っていただけるとさらに学びが深くなると思いますので、頑張ってください。私からのコメントは以上です。

 

株式会社経営共創基盤 共同経営者 IGPIグループ会長  冨山 和彦 様

 本当に皆さん本当にお疲れ様でした。今日のファイナリストじゃなくて、全ての参加者に本当にお疲れ様でした。総評ですが、ベンチャーというテーマは初めてなんですよね。ベンチャーかつハードウェアの材料で、いわゆる大学発のディープテックベンチャーということで、ベンチャーの世界でも難度が一番高い、そういうタイプのケースです。なので、本当皆さんよくチャレンジしてくれたと思います。

 もうすでに皆さんが語られているとおりで、VC的な立ち位置で見た時にお金を出す視点でもし考えるとすれば、やっぱり2つ考えるんですよね。この人達、人からお金を預かって事業をやる最低限の足元の固さっていうか、リアリズムがあるかなっていうチェックと。他方でベンチャー投資なので、要するに大それているかな、大それたことを考えているかなっていう、多分これは相矛盾するように見えるんですけど、この2つなんです。どちらかというと前者の方は、なかなか本当に資料を見ても大したもんだなと思いました。ただそれとちょっとトレードオフになって、大それきれなかったケースが多かったかなというのが印象です。あとファイナリストだけじゃなくて、これを機会にひょっとすると、この後この材料系のディープテックベンチャーに挑戦する人がいるかと思うので、我々もいっぱいそういう事案を見てきたんで、罠にはまらないでねという意味で、いくつか注意して言っておきます。

 割とこういう事業は、気がついたら受託サービス事業になってしまうケースが多いんですよ。それでウロウロしてしまう、これは気をつけてください。それと似たようなパターンで、サンプル屋さんになってしまうパターンが多くて、これもそうならないように気をつけてください。あと、アプリケーションのお客さんにちょっと寄り添いすぎて、気が付いたら全部ノウハウ抜かれて、単なる下請けサプライヤーになってしまうことがあるので、これも気をつけてください。それから、用途開発っていろんな用途があるので、知らないうちにずっと放浪してしまうことがあるんですよね。いろいろ食い散らかして、ということもあるので、これも気を付けてください。

こういう「べからず集」を介して、日本からディープテックベンチャーのすごいのが出てくると、元は日本って材料系強いですから、そういうのが出てくると、それこそそういうところはまた小野さんのところがばかっと買収なんかして成長すると、日本の未来は明るいんじゃないかなと思っております。私の方から、これがまず全体の総評です。これも何人かの方が言われたように、今回本当に僅差です。だから結構かなり割れましたよね、審査員の票が。多分どこに重きを置くかによって全然評価が変わる感じだったんで、平田チームが三冠とか四冠なんですが、これで調子に乗らないでください(笑)。あくまでも僅差の優勝です。

 

 個別評ですが、毎年ニックネームを付けることが私の義務になっておりまして、発表順に付けていきたいと思います。まず西田チームですね、レイヤーマスターという言葉でスペル「R」じゃない「L」ですね。スペルは違ってましたけれど、おっ、と一瞬思いました。木村さんが言ったように、今のこういう世界っていうのはもうすでにデジタルの世界でレイヤー化って当たり前ですが、いま材料系の領域もどのレイヤーに自分のポジショニングするかによっても、ビジネスモデルが全然変わってしまうんですね。収益力も変わります。材料系の会社もまさにそこで色んなチャレンジをしているわけなんですけど、その中で訴訟なんかもやはりレイヤー化しているから起きてくるんですね。なので、そういう意味ではすごく大事なキーワードです。けれども、レイヤーと言いながら、ゴールが垂直統合的な話になっていたので、ちょっと残念でした。ですが、すごく視点は正しいです。最近私、経産省出身の西山さんという人と本を書いていて、彼が使っている言葉で、色んな産業がレイヤー構造になっている、その中でどう自分をポジジョニングしていくかということがすごく大事だという話があって、彼はそれをお菓子のミルフィーユ、その言葉は「層」と言う意味らしいんですけど、『ミルフィーユ化する世界』って言っていました。それに引っ掛けて、このチームは「目指せ、パティシエ。ミルフィーユマスター」というチーム名にしたいと思います。

 

 次は矢吹チームです。ここは逆にその用途開発ということを一生懸命やって、ある種、お客さんに寄り添っていく的なことをすごく強調していて。これ自体、用途開発するときは必須の条件です。必須の条件なんですけど、これを裏返して言っちゃうとさっきの罠もあるわけですね。この罠にどうはまらないのかということが大事なので、これはちょっと古いんですけど、「お客様は神様…かな?」っていうチーム名にしたいと思います。神様なんだけど、「かな?」というところがあるので、この辺のポジショニングとか、距離感というのがすごく大事なのでそう名付けたいと思います。

 

 次に平田チーム。これは優勝チームなので素晴らしいプレゼンテーションだったということは言うまでもないんですが。中でも言いましたけど、人工骨を中心としたニッチトップで、ビジネスモデルは材料粉末屋さんというモデルでした。そのビジネスモデルが明確だったということと、まず一点突破でというこの2軸が、ある意味では粉末屋としては大それた話で、そこに突っ込んでいくというのが足元の話だったんで、多分そのバランスが良かったことが評価が高かった理由かなと思います。ただ中でも申し上げましたとおり、いずれにしろ高付加価値モデルを追求しようということなので、これも日本の実は特に製造業系がずっと、最終製品メーカーもそうなんですけれど、やっぱりプライシングでやっぱり苦労しているんですね。どちらかというと日本がかつて勝ってきたパターンっていうのはとにかく不良品が出せないという意味での品質と、量とコスト、operational excellenceでずっと戦ってきているもんですから、基本的に価格を安くすることは善なんですよ。これは電機メーカーも、自動車も。ある種、その被害を小野さんとか受けてるわけですけど、でもそうなってるんです。これがかなり刷り込まれた、組織能力的なレベルの行動様式になっちゃってるんで、この路線でいくんだとやっぱり、粉・骨、高く売ることが大事なんですね。という意味でチーム名は、「粉と骨、世界で高く売りまくれ」ということにしました。

 

 次に白井チームです。ここは何人か言われたとおりで、これが中堅・中小企業の競争戦略、成長戦略を作りなさいというケースだったら多分このチームが優勝だったんじゃないかと思います。すごくちゃんと分析されて構造的に良く出来ていました。エクセレントだと思います。だけど、これだと金額含めて、銀行にお金を借りに行くようなプランの話になっているので、やはりベンチャーとしてお金を調達するっていうこと。あと、皆さんに考えてもらいたいのは、VCの立場で考えると、時間を使って色々この資料をたくさん読んで、調達額が2000万でしたっけ。するとちょっと待ってくれよ、になっちゃうんだよね。要は、時間の無駄になっちゃうんですよね。あれがせめて2億円と言ってもらわないと「今日、俺、ここに何のために来たの?」になってしまうんで。さっきちょっと木村さんも言ってましたけど、そこは皆さんが思っている世界観とベンチャーでお金を集めていくという世界観はかなり違うんですよね。そこはすごく今回の学習ポイントだと思いますし、今後、会社の中で新しい事業を起こす時も多分同じような話です。しょぼしょぼっとした話で、例えば社長にプレゼンしても、「それ、わざわざ社長のとこまで来て言う話じゃないでしょ」ってなってしまうので、そこはちょっと頭の切り替えが必要なのかなと思います。ということで、非常に惜しかったので、チーム名は「夢を、もっと夢を」ということにしました。

 

 最後、鈴木チームです。さっき「呼び出しておいてそれかよ」ということを言いましたけど、それ、田中さん立場で同じなんですけど。このチームはある意味ちょっと何かひとつ視点を変えたら逆に、慌ててお金集めるっていう内容じゃなかったんですね。それで実はここは結構、この手のディープテックベンチャーにおいて、実は結構大事なポイントです。さっき木村さんが言ってましたけれど、割とちょっと目先にちょろちょろっとビジネスがあるんで、ぱっとお金を出してぱっと上場みたいな方にいってしまう。これは実行委員会が仕掛けた罠だと思いますが、実はちゃんとした量産ベースに乗って、ものすごく広い範囲でアプリケーションされるのには普通すごい時間かかるんですよ、材料って。大体すぐ10年くらいかかっちゃうんですよね。すごい時間がかかる話に実は乗り出そうとしているところがあって、だからここで慌てて中途半端にベンチャーキャピタルからお金引っ張ると、逆に後ろを切られちゃって、実はかえって迷走する危険性があるんです。それで迷走するようなベンチャー、僕もいっぱい見てきたので、実はゆっくり行くっていうのも大事な可能性があるんです。だからこれは実際、どうなのかっていうのは、まだこのケースの情報だけでは分からないんですけど。ということで、逃げではありませんというプレゼンテーションがあったので、ちょっとこれまた古いんですけど「逃げるは恥だが、ゆっくり行こう」というチーム名にしました。

 

 今回、新しいタイプのケースだったので、作る側にとっても、あるいは我々評価する側、もちろん参加してくれた皆さんにとっても、非常にチャレンジングなケースだったと思いますけど、そのチャレンジに充分応える素晴らしい内容のプレゼンテーションでしたし、最後の5チームの前の段階、今日の午前中の段階でも、皆さん大変高いクオリティの内容になってると思うので、そこはもう皆さん、充分に誇りを持ってください。

ただ、これは毎年言っていますが、この順位と実際に世界における成功・不成功には多分ほとんど相関がないので、是非ともこれで調子に乗らずに、ここを出発点として、現実の世界に戻って本当に成果を上げてもらえたら嬉しいなぁと思います。

 

 最後にこれも毎年言ってるんですけど、実はこのJBCCで一番実は勉強できる立場にいるのは実行委員の人なんですね。一番大変なんだけど、一番勉強になるのは実行委員のみなさんだと思います。このケース、実はいろんなところのトラップを含めて深いケースになっていて、かつ現実世界でものすごく難しいテーマを取り上げて、ここまでのケースに仕上げてくれたことには心から敬服しますし、本日のこのオペレーションも含めて、本当に最後は実行委員会の皆さんに拍手送りたいです。本当に皆様、お疲れ様でした。

 


ケースについて

JBCC2021 ケース課題

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JBCC2021_課題ケース本文.pdf
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JBCC2021_課題添付資料.pdf
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ケースの概要 / ケースライターの意図

 グランドファイナルにてJBCC2021実行委員会のケース班より説明させていただきました。

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JBCC2021_ケース概要.pdf
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JBCC2021_ケースライターの意図.pdf
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GF進出チーム資料

Aブロック

一橋大学大学院 鈴木奨チーム

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鈴木奨チーム_予選資料.pdf
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鈴木奨チーム_本選資料.pdf
PDFファイル 15.3 MB

Bブロック

グロービス経営大学院 名古屋校 白井宏一郎チーム

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白井宏一郎チーム_予選資料.pdf
PDFファイル 2.8 MB
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白井宏一郎チーム_本選資料.pdf
PDFファイル 11.5 MB

Cブロック

グロービス経営大学院 東京校 平田真子チーム

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平田真子チーム_予選資料.pdf
PDFファイル 1.7 MB
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平田真子チーム_本選資料.pdf
PDFファイル 4.8 MB

Dブロック

グロービス経営大学院 東京校 矢吹勇人チーム

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矢吹勇人チーム_予選資料.pdf
PDFファイル 3.5 MB
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矢吹勇人チーム_本選資料.pdf
PDFファイル 9.0 MB

Eブロック

グロービス経営大学院 東京校 西田順風チーム

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西田順風チーム_予選資料.pdf
PDFファイル 3.1 MB
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西田順風チーム_本選資料.pdf
PDFファイル 5.4 MB

大会プロモーション

本選大会 キービジュアル

本選大会 プロモーショントレーラー

本選大会 リーフレット / ポスター

アンケート結果

■観戦者アンケート・5段階評価

(とても満足 /満足 / どちらともいえない /不満 / とても不満)

 

 観戦者の皆様に アンケート へのご協力をいただきました。JBCC2021の大会は、98.6%の方々にご満足をいただけた旨、ご回答をいただきました。アンケートへのご協力をいただき、誠にありがとうございました。

 

 【一部ご意見・コメント抜粋】

 ● 通常のクラスでの学びでは得られない総合格闘技の真髄を感じることが出来た

 ● さまざまな角度のアイディアを聞けたこと、また、普段投資家の人と話すことはありませんが本線での質問は厳しくリアルな場を想像できました。

 ● 審査員からのコメントの角度が高く、観点を新しく得ることができた

 ● 出場者の緻密に練られたプランに対して、各審査員の洞察力から成るコメントが、刺激を受けました

 ● トップレベルMBA生の発表とその評論が聞けて、MBA進学へのイメージが掴めた

 ● 予戦に参加した立場から、本戦出場チームの分析の的確さ、深さに驚きました