座談会イベントの様子を公開しました (日本経営様)

先輩の声

日本経営様 × JBCC2021出場チーム 座談会 特別企画

■ 2021年 協賛企業 日本経営様 および JBCC2021出場チーム(平田 真子チーム) 座談会 特別企画 ■

株式会社日本経営

 専務取締役 井上 陽介様 

 課長代理 橋本 浩司様

 組織人事コンサルティング部 福田 洸様

JBCC2021 出場チーム代表(平田 真子チーム)

 平田真子さん

 中川雅志さん

 岡田昌洋さん

 岩松琢磨さん

 奥野元貴さん (以下敬称略)

 


——本日は優勝チームであり、御社からの副賞に選ばれました平田チームの皆様との座談会となります。受賞理由では、「ビジョンが明確だったこと」、それから医療という、御社の事業との関わりがあったことを挙げられました。改めて、平田チームのプレゼンをどのように評価されたかご意見を伺ってもよろしいでしょうか?

井上様:平田チームの皆様、優勝おめでとうございました。決勝に進まれた5チームは、どのチームも甲乙つけがたく、どのチームも優秀で素晴らしい視点と切り込み方であった。私共、平田チームに日本経営賞を投票させて頂きましたが、実は、当日選定理由のコメントを司会の方が誤字だと思って省略された部分が重要であり、「目的の目的を明確にしている」というコメントをしたが、目的を明確にしているとコメントされてしまい、主旨が違う形になってしまった。要は金属の粉末とゆう唯一無二のこの会社の技術と言いますか、製品と言いますか、それを、目的は人工関節であるとかインプラントであるとか粉末の特性を生かした製品に応用するのが製品化の目的であったと思いますが、作られた製品がどのように社会の中で役立っていって人々の暮らしを良い物にしているのか、そういった高次化された考え方に基づいたプレゼンであったという事と、最終的にベンチャーキャピタルに依頼した金額が他のチームが2億台のプレゼンが続いた中で五千万円という金額感と2030年の売り上げ目標が17億、利益率30%いう堅実な経営の考え方、一気に大きく儲けるという考え方では無く、現実路線に基づいた経営を安定的に経営していこうという考え方に非常に好感が持てた。もう一つは私共がヘルスケアビジネスを対象としたお客様が多いというコンサルファームですのでそういった視点で医療系の提案が多かったという点で日本経営賞としてはそこが一番、その二点が選定の理由でした。

 

——平田さん、今の井上様のお話しを伺っていかがでしょうか。

平田:井上様、本当にありがとうございました。ご好評から我々を選定して頂けた理由が非常によく分かりました。今回VCに依頼した金額は五千万円でした。ここは当日私たちの中でも、もう少し金額をもらえるような提案が出来たのかなと議論しました。通常、VCに2億円とかもうちょっと大きな金額でオファーされるというのが一般的なのでしょうか。今回我々のプランの場合は如何でしょうか。

 

井上様:当然、内容にもよると思うのですがこれだけの将来のビジネスを考えた時に、特にスタートアップの段階であれば五千万というのはあまり聞かない、控えめな金額だと思います。一般的かどうかは中々難しいですけど基本的には設備、何にどれだけお金がいるか必要以上の物はそれほど力量以上に出資してもらう必要はないと思うのですけど、銀行借り入れとは違いますので、それをどのようにバリューアップしてVCに還元していくかというビジネスを作っていくというところになるので、二億でもそんな小さな事を言わずというところもあり、金額感ではそのような感じです。我々も実際のビジネスの中で、日本経営としても海外ビジネスを展開していくときに資金的にどうするか、私どもは無借金経営ですので自分たちの現預金の中から投資をするという考え方もありますし、お金を銀行から借りるっていう手もありますし、具体的にはタイでビジネスをしようとしているのですけども、そのビジネスモデルに着目したベンチャーキャピタルが出資をしたいと逆に言ってきて頂いていて、それは二十億くらいだったら貸しますよとお話しも頂いています。今の所、二十億は必要ないというところなのですが段階的に設備投資、施設を作って海外でリハビリ病院というものを展開していくようにしているのですけど、建物を建ててというビジネスになりますのでお金がかかるというのは事実です。最初、事業計画をたてた時は五億くらいのイメージでいたのですけど、コロナで思うようにいかない部分が多々ありまして今はパイロットケースというような感じで十例くらいを中心にジョイントしているタイの現地のヘルスケアビジネスを展開している上場している会社なのですけど、そちらが持っておられる病院の一病棟を借りてパイロットケースをやっています。大体事業の投資の規模感はそんな感じです。

 

平田:リアルなVCの実情を教えて頂いてありがとうございます。

 

岩松:資本政策については私が作りましたので、今、仰って頂いたコメントは非常に身に染みる部分があります。一方で大学発スタートアップの場合は少し難しさが違っていると思います。現在、グロービスの方で産官学連携の代表幹事として、大学発スタートアップに関わるグロービス生を増やせないかということをしています。その中で今回、別ブロックで審査員をされていた塚越様と資金調達について議論させて頂いたこともあります。

今回の調和組織は魅力的な技術ですが、我々のプランでは、ハーモニックパワーはまだ研究開発が必要なシード期のスタートアップかなと思います。やっぱりシード期で数億円というのは中々調達が難しいですよね。VCともお話させて頂き、シード期のベンチャーは多くても一億円、平均的には五千万くらいが調達できる金額かと思いました。また、バリューが低い状態で一気に調達すると株を多く譲渡しないといけないというデメリットもあります。その反面、ドローンやキャンプ用品を事業領域にすれば既に売上はあるので、アーリー期という考え方で数億円の提案もできたかもしれません。

我々はやはり技術を大事にしたい、我々の志にあったヘルスケアで活かしていく為にはどうすればいいのか、目標と現在位置とのギャップから必要な研究開発や施策について考え、五千万円かな、と。でも五千万だと少ないので、補助金でレバレッジを効かすという選択をさせて頂きました。

背景としてそんな決め方をしましたが、戦略としてもう少し獲れたと言われた今だと、数億円で攻めたプランを作っても面白かったのかなという風に思っています。

 

井上様:なるほど。分かりました。

 

岩松:現実性というか堅実性やリアリティを追求したというところはあると思います。

 

井上様:逆に質問です。他のチームとの違いで際立っていたのが人工関節の所に踏み込んでいくという目線だったのですけど、これは結構研究されたのですか。今の日本の医療ビジネスにおける人工関節の実態と言いますか。

 

岩松:そうですね。皆で市場を比較検討をした上で医療機器にしましたが、私が医療機器メーカーにおり医療機器周りの解像度は高い状況でした。医療機器に決めた後は皆でとことんまで深堀しようと、整形外科の先生や人工機器メーカーさんへのヒアリング等を行い、どこにペインがあってどこに顧客の課題があるのか、本当に実現性、リアリティを持たせるまでやりました。

 

井上様:なるほど。流石ですね。非常にリアリティのあるプレゼンで人工関節って結構嫌がる患者さんが多いのですね。それは製品の精度とかチタンとかいわゆる素材の問題という所があって、その中で「歩くを自然」にと仰ったのかな、このコンセプトも良いなと響いたコンセプトだったのですけど、まさに関節を病んでいる方々というのは元のようにちゃんと歩きたいというニーズが非常にあって、そこにマッチする提案ですし実際にそれを実現しうる製品だというアピールに心響くものがあったという風に思いました。

 

平田:ありがとうございます。人工関節メーカーの社長さんにもプレゼンテーションを聞いて頂きました。経営者目線と専門家の目線でフィードバックを頂きましたが、よりリアリティを追求出来ると言いますか、そこまでリアリティを持たしてやっていきたいねというのがありました。

 

福田様:感想になると思うのですが、本当に皆さんが素晴らしい発表をされている中で平田さんのチームが凄かったなと思ったのが、スライド自体が、発表資料自体が完全に構造化されていて、とても分かりやすいなという所でした。MBAとか取りに行く時にあったっては構造化の話しとか色々なフレームワークとか学んでこられると思いますが、その学びが全部落とし込まれていて、自分達が今何処にいるかというポジショニングから、そこからストラクチャーを考えて、どういう風に作っていくかというキーサクセスファクターのところとか、具体的に事業としてこれからやっていくのかというぐらいリアリティがあり、凄いなと思いました、特に付録のところのマーケティング戦略の所まで、セミナーなどまで考えておられる本気度が伝わってくる資料で自分自身も凄い参考になりました。凄い発表を聞かせて頂き本当にありがとうございました。

 

中川:資料を作っておいて本当に良かったと思いました。通常、VC向けにピッチをやる際にはあそこまでの資料はいらないといったコメントも有識者から頂いていました。最後まで悩みましたがMBAのコンテストにとっては必要だと思い、最後の最後に入れました。セミナーの所もおっしゃる通り、作り込んでいた部分でした。短期戦略の主軸の部分で、集客と同時に短期資金を稼ぐようにして資金を繋いでいこうと思っていました。ガスアトマイズ装置の稼働と政策金融公庫からの資金調達を優先し、プレゼンの時間内に収まらないという事から、appendixに入れていました。結構しっかり作っていたので、あの資料に注目頂いた事は本当に嬉しく思いました。

 

橋本様:皆さん、他のチームは60ぺージぐらいだったところ、90ページを超える資料を作られていた事に驚きました。質疑応答などにも対応した施策だったかと思いますが、私は非常に驚いた点でした。冒頭に井上から目的の目的といった目的の公示化のところや医療というジャンルのところ、堅実な経営姿勢、ヘルスケアビジネスといったお話しがありましたが、日本経営賞を考える時に端的なコメントしかかけずに、理由付けを明確に短く伝えようという事で議論が深堀となり、時間がかかった経緯がありました。実は一言でお伝えしている内容の中に意味があり、堅実な経営という言葉の中にも意味を込めており、長野県の伊那食品工業さんという年輪経営を掲げておられる企業に共感して、私達もそのように志しています。どこかの業界でM&Aをして1社だけが大きくなると、リストラなど、光りのあるところに影がありといった、社会全体が良くなっているのだろうかという問いが私達経営の中にもありまして、業界の構造が変革するという事よりも、自己の資本を少しづつ増やしていって堅実な経営を行うという事の方が良いのではないかと思っています。私達も来年で創業から55年になりますが、自分達の内部資本を高めてきたという事もあり、共感させて頂いたというコメントになります。ヘルスケアの領域という事でも、人工関節の会社の社長様にまでプレゼンされたということを聞いて驚きましたが、そういったところまでウラドリされたというところが今回の受賞に繋がったのだと思います。資料の後半で実際に聞いてみたいところですが、工場を大きくされてIPOというところですが、1年ごとに職員の数を増やされるところですが、私も採用の仕事をしている中で、調達額という5,000万というところで、紹介会社に頼るだけでも3割5分ぐらいは紹介料が必要となり、年収1千万の人を雇うのに350万程かかる。それに加えて審査員の方からも知財をどう守るかといったお話しがあったと思うが、そういう平坦機能とか人事とか、バックヤードを考えると、人の数に伴う投資というところも堅実に育てていく視点を含めると、上積みで少しお金と時間が必要かなという風に思いましたので、その辺のお考えがあればお聞かせ頂きたいです。

 

中川:人事組織面のページも私が作りました。年収としては1人500万ぐらいで考えていました。製造部や研究開発などのCXOじゃない方々を含めて計算をしています。数字の根拠としては、人工股関節や他の事業を含めてこれぐらいの人材が必要だからボトムアップで上積みしながら組織を作っていきました。ただ、ご指摘がありました採用に、そこまでの追加費用がかかることまでは考えていませんでした。今、お聞きして確かに考慮すべきだったなと思います。研究開発部の方は大学生をしっかり自社に引き入れていくといった方針を奥野さんと話していて、その方法で確保できると考えていました。従業員向けのストックオプションも考慮にいれていたので、報酬面では確保出来るのではないかと考えています。

 

奥野:採用に関して紹介会社に30%程必要という事は周りのリクルーターさんから聞いた事がありました。一方、私の周りのエンジニアからは、ベンチャーの社長さんが何回も何回も連絡をくれたので、行こうと決意したということがあるのは聞いたことがありました。立ち上げ当初のスタートアップに、しっかりと技術が分かっている人が入るのが厳しいのではないかと思い、紹介会社で大きく網を張るよりも、三顧の礼を尽くし、何十回とオファーをすることで本当の意味で自社の戦力になってくれる方に入っていただけるのではないかと考えました。また、特許の部分ですが、スタートアップとして公にするかしないかではなくて、今回はプロセス特許として、ノウハウは公にしないという方針で、下記の通り考えています。

 

下側のプロセス特許に関してはリバースエンジニアリングで証明出来ないという点から公開しないと考えました。実際に現場を見てみると、プロセスの細かな条件は作業員も分からないようにしてあるといった事も結構行われています。それをどのように実施するかも会社として取り組んでいっているなという印象です。うまく構築できれば、自社の優位性を長きに渡って維持することができるなと考えていました。

 

橋本様:ありがとうございました。現実的な企業の採用をしていると、経営者の方は本当にやる事が多くて大変だと凄く思う。そういう所を右腕、左腕として採用のところもヘッドハンティング形式なのか、リファラルなのかなど、そういう所も戦術として大事なのかなと思っております。自社がオンリーワン、ブルーオーシャンの時は大丈夫だと思いますが、当社も含めて競合他社が多いと、それだけでは惹きつけられないというのがありますので、そこはオンリーワンのうちに囲っておくなど議論が必要かと思いました。

 

——日本経営様は長らくJBCCを応援してくださっています。今大会あるいはこれまで大会をご覧になられた上でのご所感や、これから学びを社会に還元していくMBA生に伝えたいことなどお伺い出来ますでしょうか。

井上様:今日の目的が前回の振り返りになっているので、少し外れますが、平田チームの皆様の経歴など簡単に教えて頂けないでしょうか。

 

(割愛)

 

井上様:MBAは経営そのものの学びになると思いますが、私も新卒でコンサルティングファームに入り、お客様は全て経営者という環境で仕事をしていたが、経営というのは素晴らしく、面白いというのがあり、日本の活力を生み出す主人公だなと思っている。中小企業の経営者が自社の事業を拡げ、雇用を生み出していくという、自分だけが金儲けして終わりではなく、経営の本質を学んで頂き、大事なのは、今の学びを将来にどう活かしていくのかが非常に大事であり、その気持ちで学んでいって欲しい。日本経営もJBCCを長年支えていますが、そういった方を少しでも輩出していきたいという気持ちでサポートしている。

 

橋本様:実行委員の皆様、昨年を上回るような取組みで素晴らしく、来年からも協賛していきたいと思いました。ありがとうございました。

 

福田様:参加された皆様は学校や仕事、JBCCの準備があったかと思うが、使命感に沿ってやり遂げておられる皆様に刺激を頂き嬉しかったです。本当にありがとうございました。

 

(本座談会企画は2021年10月24日に行いました。)