インタビュー記事を公開しました (グロビ東京)

先輩の声

グロービス経営大学院 経営研究科 東京校

 

チームのためと思えば、いつもの10倍の力がでると感じた

こんなにも想えるような仲間に出会えたことが大きな財産です

 

  史上最多となる215チームが出場したJBCC2021にて優勝を含む3冠に輝いたグロービス東京校・平田チームへのインタビューを行いました。

チームビルディングの秘訣や戦略の考え方など、本選までの道のりについて色々なお話を伺いました。 

 

2021年大会 優勝/日本経営賞/トリプルバリュー賞 3冠

平田 真子チームの皆さん

 

【左上から時計回りに】

中川 雅志さん(教育業界) 

奥野 元貴さん(製造業界)

岡田 昌洋さん(IT業界)

平田 真子さん(商社業界)

岩松 琢磨さん(医療機器業界)


チームの発足・経緯についてお聞かせください。本日も本選も、Zoomの背景が印象的でした。この背景画像はどのようなコンセプトで作成されたのですか? 

 

平田:チーム名である「飛んで火にいる夏の虫」をモチーフに、岩松さんがデザインしてくれました。

 

——「飛んで火にいる夏の虫」というチーム名も個性的ですよね。どのような想いが込められているのですか? 

 

岩松:このチームは、平田さんが発起人なんですよ。平田さんが声を掛けた4人とも、誰一人Noとは言わず、次々とチームに参加しました。その様子が光に引き寄せられる夏の虫みたいだね、と懇親会の時に誰かが言ったんです(笑)。それでチーム名を「飛んで火にいる夏の虫」と決めて、Zoomの背景画像も、燃え上がる火の回りで虫が飛び交っているデザインにしてみました。

 

——まさに平田さんという火の周りで、皆さんが一緒に燃え上がっているのですね。皆さんは、JBCC参加前はどのようなつながりだったのでしょうか?

 

平田:中川さんと奥野さんとは、大学院で最初に受講したクラスが一緒でした。

 

中川:そのクラスは講師も驚くほど勉強熱心な人が沢山いて、勉強会や懇親会もひんぱんに開催されていました。平田さんはその中でも、やっぱり輝いていましたね。

 

平田:岩松さんとは、学事行事の学生委員で一緒だったのがきっかけです。活動に真剣に取り組んでいる姿が印象的で、一緒に取り組みたいと思いました。岡田さんとは、昨年一緒にJBCCに挑戦したこともあり、今回もお声がけさせていただきました。

 

岡田:私と平田さんは、去年のJBCCでは予選敗退でした。去年できなかった予選通過を今年は成し遂げたいという想いを持って今年は参加しました。

 

——皆さんのチーム内は、昨年のリベンジャーが多いのでしょうか?

 

岡田:去年出場したのは、平田さんと私の二人だけです。

 

岩松:私は昨年は出場していませんでした。大学院の友人達が本選で発表しているのを観て、「ビジネストップと議論できる、面白そうな大会だな」「来年は出場してみたいな」と思いました。しかしながら、今年になって二人目の子供が生まれ、大学院の勉強含めると時間の使い方が難しいと苦慮していました。出場はしないで良いかと思っていたのですが、平田さんに誘われ、背中を押された形で参加しましたね。

 

 

——なるほど、まさに平田さんがつけた火に集まった形ですね。チームビルディングで気をつけたことについてお聞かせください。

 

平田:ケース発表前にチームで集まって決めたことが、3点あります。「目指すところ」、「スローガン」、「WAY(コミュ二ケーション、取り組みWAY、個人WAY)」です。

 < チーム内の取り決め >

 ★JBCCで目指すところ  

 予選通過を全力でやる

 

★スローガン  

 3密な27日間(密着・密接・密度)~終わったら戦友~

 

★WAY  

 〇チーム(コミュニケーション)WAY   

  ●楽しむ・笑う・ユーモア忘れない   

  ●リスクなし・意見のぶつけ合いはOK   

  ●お節介して、切磋琢磨しよう  

 〇取組WAY   

  ●実務に活かす   

  ●戦略を統合する   

  ●無理な時は早めに共有、一人で悩まない   

  ●相談するときは、できる限り具体的にしてから   

  ●早め早め行動を心掛ける  

 〇個人WAY   

  ●志を燃やそう

 特に「個人WAY」を設定したのがよかったと思います。それぞれ考えが違うメンバーが集まっているので、同じ方向に向かって走れることが大切と感じました。チーミングとしては、お互いのことを知る懇親会を5月には行ったり、打合せ後にはFacebookグループに集合写真をアップしたりなど、心理的安全性を高める工夫を多く実行していました。

 

——これらのことは平田さんが自ら取り決めたのですか?

 

平田:私が、というよりは皆で話し合って決めました。

 

——予め信頼関係があった上に、このような共通意識を持てたことで更に大きな力が発揮できたのだと感じました。授業でもグループワークを行っていると思いますが、それらと比較してJBCCでのチームビルディングで気をつけた点はありますか?

 

奥野:違いという訳ではないですが、ひとつずつ丁寧に皆で決めたところです。さきほどのWayやそれ以外の細かなルールは、それ自体をメインの議題として2〜3回の会議を行い、全員で決めていきました。そこまですると、どの項目にも何かしら自分の意見が入っているので、守らないわけにはいかないのです(笑)。皆が言葉のニュアンスまで納得しているので、活動するときの柱としても納得感が高かったです。

 


 ——分析や戦略を練っていく役割分担についてお聞かせください。

 

岩松:ケースが発表されたらすぐ取り組みを開始できるように、発表前に過去のケースを見て、分析プロセスとそれぞれの得意そうな分野で役割を決めました。ですが、今回のケースは今までと全く異なる「大学発スタートアップ」だったので、当初の想定通りにはいきませんでした。分析に必要な視点や論点などを洗い出して方向性を練り直すため、3~4回かけて話し合いました。

 

——今回のケースは過去問で勉強していた人であるほど虚を突かれたのではないかと思います。そういう中で、大きな方向性を決めるまでが大変だったと思いますが、どのように決められましたか? 

 

中川:ケース公開後の3連休で合宿を行いました。リアルで参加したのは平田さん、岡田さん、奥野さんで、岩松さんと私はリモートで参加しました。合宿中には、奥野さんが粉末冶金や調和組織構造の技術的な部分を時間をかけて分かりやすく解説してくれたのです。これで技術を含めた基盤を整えることができました。全員が最低限の共通理解を有した上で議論を進められたことが、合宿後の生産性を高めることにつながったと思います。

 

——奥野さんは、元々この分野に精通されていたのですか?

 

奥野:仕事でジェットエンジンの研究開発を行っており、その中で材料を専門として携わっています。大学時代から今まで一貫して金属工学に触れてきました。とはいえ、今回の調和組織構造についてはそこまで詳しくないので、チームメンバーの質問を受けながら自分自身も勉強していきました。

 

——合宿はどのような形でおこなったのですか?

 

岡田:2泊3日で部屋を借りて朝から晩まで議論しました。

 

——文字どおりの合宿だったんですね!これは運営の裏話ですが、連休の日程もよく見て色々考えながら大会日程を組んできたので、まさに連休を活かしてじっくり議論いただけたようで、嬉しく思います。次の質問ですが、皆さんのプレゼンや資料を拝見して、リサーチやインタビューにしっかりと時間をかけている印象を受けました。分析のフェーズで心がけたことをお聞かせください。

 

中川:私が業界KSFの分析や、財務諸表の作成を担当しました。分析のフェーズで心掛けたことは「大学院で学んだことを活かす」です。ベンチャー企業のケースであっても、MBAで学んだことを愚直に活かすことを心掛けました。特に我々のチームには財務の専門家がいなかったため、財務面はアカウンティングのクラスで学んだことに頼りっぱなしでした(笑)。ただ、分析だけでは机上の空論です。その分析にしっかりと肉付けできたのは、平田さんと岩松さんのネットワークによるインタビューのおかげです。

 

平田:グロービスの卒業生や在校生のつながりをたどることで、人工関節分野やベンチャーキャピタルの方などと色々な意見交換をすることが実現しました。これによって戦略の解像度を上げることができました。今回の戦略を作り上げる上で、人的ネットワークのありがたさを強く実感しました。ご協力頂けた皆さんのご好意が本当にありがたかったです。

 

——人的ネットワークというのはMBAならではですよね。精度の高いリサーチがあった上での打ち手の説明には説得力がありました。引き続き戦略についてうかがいます。中期戦略以降では、「医療」という柱がありました。これに至った議論の経過や狙いについて、お聞かせください。

 

中川:調和組織の活用で難しかったところは、何を解決できるかが見出しにくかったことです。金属靭性が上昇することが特徴ですが、その特徴で解決できる顧客のペインが、なかなか見つからない。その中で人工股関節だけでなく、医療機器の手術工具などさまざまなオプションを出しながら、戦略の実現可能性を追い求めました。

 

岩松:色々な業界を議論していたので、正確な経緯は思い出せないのですが(笑)、医療には早めにフォーカスが定まりました。これはヘルスケア分野、特に人の健康に関わるところに貢献したいという想いを皆が持っていたのかもしれません。そのため、ケースの中で一例として出ていたドローンやキャンプ用品といったオプションは、自ずと選択肢から外れていきました。

 

——医療の中でも「人工股関節」にフォーカスした想いやロジックがあるのでしょうか?

 

平田:医療にも色々ありますよね。初めはカテーテルや歯科用インプラントなどもオプションにあり、歯医者の方にインタビューもしました。その過程で、ペインが最も強く、明確なのが人工股関節ということが分かりました。このペインは調和組織で解決できそうだという道筋が立ったので、更に深堀っていった、という流れです。

 

岡田:検討する中で、プロダクトマーケットフィットが極めて大事だと考えていました。私たちのプロダクトはどのようなペインを解決するのか。ここを強く意識するように皆の目線が揃っていたことが、人工股関節にたどり着くまでの土台になっていたと思います。

 

奥野:実現可能性という視点では、その年数で研究開発ができるのか、必要な認証が取れるのか、その金額はVCから投資してもらえるのかなど、かなり具体的な内容を議論しました。一つずつ実現可能性を検討していった結果、人工股関節にたどり着いたように記憶しています。

 

岩松:その他には、大学発ベンチャーで勝つための要諦は?ということも念頭においていました。特に、既存技術との差別化要因は何か、その差別化を受け入れてくれるマーケットはどこか、この2点が重要な論点でした。

 

——優勝を決めた後の反響はどうだったでしょうか? 

 

平田:本当に多くの方からお祝いの言葉を頂きました。応援してくださった方、インタビューさせていただいた方や講師の方々から頂いた温かい言葉に、感謝の気持ちで一杯です。私たちがどのような戦い方をしたのか、来年に向けて教えてほしいという依頼が早速来ています。私たちの経験を次世代に伝えていきたいと思います。

 

岡田:お祝いの言葉で「チームワークの良さが伝わってきた」というコメントを多数頂きました。これがとても嬉しかったです。JBCCを通じて、チームワークと心理的安全性の大切さを学べたことが、特に良かったと思います。

 

——大会が終わってまだ1週間なのに、もう勉強会の打診が来ているんですね。そういうところは、今回グロービスが強かった要因なのかもしれませんね。大会を振り返っての感想(全体、当日)、来年出場したい人にむけたメッセージをお願いします。

 

岩松:大学院の同期の支えが大きかったです。グロービス全体で、今年は優勝旗を持ち帰るという想いがありました。一緒に本選に出場した仲間との切磋琢磨に加え、本選に進めなかった方々からも様々な応援や優勝して欲しい!との言葉をいただきました。周りの皆の支えがあったからこその優勝だと思います。人のネットワークだけではなく、自分自身の志を確かめること、能力を深めることにもJBCCは良い場だと思います。これまで学んでいたことが花開く場だと思います。ビジネススクールで学んだ要素がつまっていて、様々な面で一気に成長できるコンテストです。昨年の私のように、今年参加しなかった方はぜひ来年チャレンジしてほしいです。

 

岡田:たくさんの方が応援してくれて、予選通過時、グランドファイナル進出時、優勝時と皆が一緒に喜んでくれたのが嬉しかったです。

JBCC2020は私から周りの仲間に声を掛けて参加しました。JBCC2021では逆に今回の仲間に誘ってもらえる形で大会に参加しました。今も実感していますが、一緒に出場したメンバーはこれから先も無条件に信頼できる仲間です。JBCCは学びと仲間、チームとして参加することで深く得られるものがあります。ぜひ積極的に周囲の人を誘って参加してみてください。

 

奥野:技術の観点から言えば、私以外の他のメンバーは金属材料について知らないところからスタートしました。チーム内で金属材料への理解を深めていく事で、本選のときには全員が調和組織を愛し、この技術を本当に活かすことのできる可能性がある適用先を考え抜いて、その結果、リアリティーを追求することができました。ここまでニッチな技術に対して、皆で真剣に議論し誰一人投げ出さず向かっていく事で共感する間柄になれたことは、本当に素晴らしいことだと思いました。また、JBCCを通じ、さまざまな方に助けてもらうことで、ネットワークの力を感じました。これは想像を超えていました。私は、JBCCでの経験を通して、実社会の物事に対する自分自身の姿勢を変えることができました。来年以降に参加を検討されている方は、実社会にも活きる経験ができることがJBCCの大きな価値ですので、ぜひチャレンジしてみてください。

 

中川:正直きつかったですね。予選のときは予測財務諸表を作るのが大変で、久しぶりに徹夜しました(笑)。本選前は夜23-2時まで打合せをすることが通常で、慢性的な睡眠不足でした。ただ、ここまで自分を追い込めたのも、JBCCがチーム戦だからです。普段の大学院の授業では、ここまでやろうとは中々思えません。チームのために責任をもってやり遂とげねば、という想いが、私に力をくれました。一人ではできないことも、チームではできるようになります。とはいえ、仲良い友達をつくろうという軽い気持ちで、JBCCに参加いただくのも全然ありだと思いますし、気軽にエントリーしていただければと思います。チームメンバーは、かけがえのない仲間になるはずです。

 

——私も経験者として、チーム制というところにJBCCの価値を感じています

 

平田:チームのためと思えば、いつもの10倍の力がでると感じました。本選前の最後の1週間は、「自分のプレゼンで皆の智の結晶を潰すわけにはいかない」という気持ちが強すぎて、皆の顔が夜寝る前に頭に浮かんだくらいです(笑)。こんなにも想えるような仲間に出会えたことが大きな財産ですし、感謝しています。JBCCは今まで学んだことを最大限発揮できる場なので、是非とも皆さんもチャレンジしてほしいです。来年に向けては、人的ネットワークを開拓し、協力していただける方をたくさん増やしておくことが重要だと思います。GIVEの精神を持ち、周りへの感謝とリスペクトを口に出すことで、自ずと仲間が増えてコミュニケーションは広がります。それを意識しながら、次の大会にむけて準備を進め、挑戦してほしいですね。

 

——平田チームの皆さんの素晴らしいチームワークと優勝に至る努力がよくわかる会でした。本日はありがとうございました。

 

(本インタビューは2021年10月24日に行いました。)