2015年度

概要報告

JBCC2015では、過去最多となる22校160チーム599名の国内ビジネススクールに通う学生がエントリー。協賛企業・団体も合計で過去最多となる18社となりました。

7月26日の本選では、書類審査による予選を勝ち抜いた16チームが慶應義塾大学日吉キャンパスに集結。2015年度から新たな取り組みとして、4チームずつ4ブロックに分かれてプレゼンテーションを競うセミファイナルを実施しました。そして、セミファイナルの各ブロック1位通過チームと、敗者復活により勝ち残った1チーム、計5チームによるプレゼンテーションを競うグランドファイナルが藤原洋記念ホールにて実施されました。

 

見事優勝に輝いたのは 一橋大学大学院商学研究科の白濱チーム。白濱チームには優勝賞金30万円とトロフィーが送られました。準優勝にはグロービス経営大学院経営研究科の若林チームが、ハーバード・ビジネス・レビュー賞には中央大学専門職大学院戦略経営研究科の平野チームが受賞されました。また特別協賛のシーバスリーガルより、シーバスリーガル18年イノベーション賞としてグロービス大学院経営研究科の一橋大学大学院商学研究科の白濱チームが選ばれています。 


実施 2015年7月26日(日)

慶應義塾大学日吉キャンパス

【セミファイナル】   協生館4階 各教室

【グランドファイナル】 藤原洋記念ホール

JBCC2015実行委員会
経済産業省
参加

予選)22校 160チーム 599名

本選)12校 16チーム   48名 

来場

約500人

審査協力

株式会社経営共創基盤

コーポレート・ドクター株式会社

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー

株式会社ドリームインキュベータ

日経ビジネス

一般社団法人日本事業再生士協会

特定非営利活動法人日本ターンアラウンド・マネジメント協会

株式会社ニューズピックス

フロンティア・マネジメント株式会社

特別協賛

シーバス・リーガル

※順不同

A.T.カーニー株式会社

株式会社アークン

株式会社コーポレイトディレクション

株式会社洸陽電機

三優監査法人

一般社団法人トモダチバンド

株式会社プロコミット

TSUKUSHI(つくし)

ケース作成協力

株式会社経営共創基盤

本選の結果

セミファイナル出場チーム(登壇順)

Aブロック
  • グロービス経営大学院 経営研究科 秋田 匡則 チーム
  • グロービス経営大学院 経営研究科 川戸 温志 チーム
  • 早稲田大学大学院 商学研究科 吉田 英樹 チーム
  • グロービス経営大学院 経営研究科 後藤 康成 チーム 
Bブロック
  • McGill MBA Japan 永田 賢 チーム
  • 立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科 阿部 太一 チーム
  • グロービス経営大学院 経営研究科 若林 聡実 チーム
  • 神戸大学大学院 経営学研究科 永田 康人 チーム
Cブロック
  • 名古屋商科大学大学院 マネジメント研究科 原 貴宏 チーム
  • 慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 乾 文良 チーム
  • 一橋大学大学院 商学研究科 白濱 佑奈 チーム
  • グロービス経営大学院 経営研究科 太田 昇蔵 チーム
Dブロック
  • 金沢工業大学 K.I.T.虎ノ門大学院 ビジネスアーキテクト専攻 松木 知徳 チーム
  • 中央大学専門職大学院 戦略経営研究科 平野 百三 チーム
  • 慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 山本 昌央 チーム
  • 北九州市立大大学院 マネジメント研究科 石井 義輝 チーム

 

赤字が1位通過チーム青字がワイルドカードチームです。

 


受賞チーム

優勝


一橋大学大学院 商学研究科

白濱佑奈チーム

準優勝


グロービス経営大学院 経営研究科

若林聡実チーム

ハーバード・ビジネス・レビュー賞 


中央大学専門職大学院 戦略経営研究科

平野百三 チーム


シーバスリーガル

18年イノベーション賞


一橋大学大学院 商学研究科

白濱佑奈チーム


審査員の講評

特定非営利活動法人日本ターンアラウンド・マネジメント協会

理事長 許斐 義信 様

私は慶応のBSで教員を務めておりましたので、そのスタンスでお話しさせて頂きたいと思います。今回の5チームの発表は非常に面白かったです。理由は、経営をどのように扱うかというスタンスでありました。

Aブロック早稲田大学チームはマネジメント的スタンスを全面にこの課題に取り組んだ。Bブロック グロービス経営大学院チームはマーケティング的スタンスで、色々な状況を分析した。Cブロック一橋大学 チームは組織や情報化など、どのようにリソースを有効活用するのかという観点で取り組み、Dブロック中央大学チームは財務的スタンスで取り組んだ。ワイルドカードのグロービズ経営大学院チームも非常に分析的で総合的にいわゆるマネジメントスタイルで課題に取り組んだ。

このコンペティションは経営大学院の各科目を超えた、横断的な経営問題に対してどのように取り組むのかというディスカッションを行うのに非常に有用であると思います。今回は九州や関西から応募もあり非常に良かった。残念ながら中部や北陸からは、東京で開催なので参加が無かったが、できれば全国の大学院が交流を深めながら次の研究課題や個人の目標を再認識する場になれば良いと思います。また、今後は法律面の方もいると良いかもしれない。いずれにしても、非常に楽しむことが出来たし、皆様にとっても何らかのプラスになればと前向きに思います。


株式会社経営共創基盤

代表取締役 CEO 冨山 和彦 様

全体の印象で言うと、今回は史上稀にみる接戦だったと思う。アプローチも多様でいろいろな方向性があって、楽しませてもらった。そういう意味では、全般に良い印象を持っている。

その一方で厳しめのコメントもすると、今回のようにそもそもビジネスモデルがなくなってしまうかもしれない領域でどのように対処していくかを考えるには、ビジネスそのものの基本的な構造から議論しなければならない。逆にそこにイノベーションのチャンスもあるということになる。その部分をもう少し突っ込んで議論いただいてもよかったのかなと思う。

その際に絶対に押さえておかなければならないのは、”ビジネスにおけるエコノミクスの構造、要は儲けの構造がどうなっているか”という視点である。売上をどのように作っていくか、というマーケティング的視点は大事であるが、その一方で売上が取れても、利益が取れなければマネタイズができないということになる。そのため、エコノミクスはどう動くか、つまりコストがどのように動くかという議論は非常に重要である。この部分は毎回ハードルが高く、皆さん苦労しているところだと思われる。

例えば、皆さんリアル店舗での小売業にこだわるという選択をしていたが、リアル小売業は分散型事業で密度の経済性が効くため、安易な規模拡大というのはあまり意味がない。

今回の舞台であった東北地方はシュリンクしている市場であり、大手の小売が今更出てこないマーケットである。この状況であれば、専守防衛で地道に採算改善・店舗の戦略的スクラップ&ビルドを行って耐え抜くことで残存者利益を獲得でき、案外儲かってしまうビジネスモデルなのかもしれないということまで突き詰めていたチームはなかった。

しかし、長期的にはビジネスが消えて行ってしまうので、そこにイノベーションをどのように起こすのかという議論をケース作成者は期待していたのかもしれない。

ビジネスは持続的に稼ぐために、どのような経営の仕掛けをしていくかということを考えていくことが非常に重要である。

講評を踏まえて、もう一度チームで議論して考えてもらいたい。


経済産業省 経済産業政策局 産業再生課

課長 河西 康之 様

本日は、非常に楽しませていただきました。

受賞された方、残念ながら受賞に至らなかった方、本当にお疲れ様です。

経済産業省では、ビッグデータ・人工知能・IoTが、産業のビジネスエコノミクスを根本的に変えるのではないか、社会生活を根本的に変えるのではないかということを議論しています。

この対応が遅れると、GoogleやAmazon.comに日本の産業の付加価値部門を根こそぎとらえてしまうのではないかという懸念があります。ゲームのルールが抜本的に変わっていく中で、ビジネスモデルをどう変えるかということにしっかり言及していただいたチームに高い点数をつけさせていただきました。

IoT・AI・ビッグデータに限らず、産業を取り巻く環境は変わり、ゲームのルールが変わっていくときに、日本経済を支えるために、その変化に立ち向かっていただく皆さん、主役の皆さんに、日本経済を引っ張っていただきたいです。


ダイヤモンド社 ハーバード・ビジネス・レビュー

編集長 岩佐 文夫 様

今回は、出版業界の抱えている問題を扱い、非常に勉強になりました。書店は、出版社以上に、デジタル化の波に押され、逃げ場の無い業態だと思います。モノである本を、今後継続的に売っていくのかどうかが大きな課題。さらに、地方の書店・企業は、地域再生の担い手。この点をどのように捉えられているかが非常に興味深かった。モノである本を売り続けるということで腹を固めたプラン、事業ドメインの再定義を行ったプラン、どちらもあったと思うが、提案の整合性が高いチームが、入賞につながったと思います。

中央大学(ビジネススクール)のチームは、事業ドメインを再定義され、かつ、地域貢献ができるプランを提示されていて、これからの経済動向を踏まえた提案になっていて、非常に良かったと思います。


ペリノ・リカール・ジャパン株式会社

マーケティング本部ブランドコミュニケーション部 マーケティングマネージャー クリスティアン エルンスト 様

本日はありがとうございました。非常に面白かったです。

今回のケースでは、社内をどのようにリストラクチャーすれば問題を解決できるのか、非常に参考になりました。ただし、私自身はマーケティング出身ですので足りなかったと感じた事を述べると、消費者目線です。優勝したチームは最も消費者目線を持っていたと思います。諸費者目線で考えて、消費者ニーズを考えて、どのようにして消費者の問題を解決できるのか。それが一番肝心です。それで勝ったチームは良い結果だったのだと思います。


コーポレート・ドクター株式会社

代表取締役 大川 康治 様

短い期間で、努力し提案を纏められ、チームが一体となった提案があって、非常に良かったと思います。一方、全体として、やや大人しい提案が多かったように思います。

与えられた環境を前提として色々なことを組み立てられているケースが多く、もう少しチャレンジングかつ、シナジーのある提案が欲しかったと考えます。与えられた環境の下でどうするかを考える必要があるが、環境変化したらどうなるかということも深く考えて欲しかったです。数字と現実の整合性をどう捉えるかが重要と思います。BS・PL・キャッシュフローをみて、実態はどうなっているか、数字の裏に隠されていることは何かをきっちり考えて欲しいです。目標を立てる時の数字の基準で、立派な会社・上場する会社の基準など、まだまだ考えることはたくさんあると思います。来年も頑張ってほしいです。


フロンティア・マネジメント株式会社

代表取締役 大西 正一郎 様

今年が初めての参加ですが、非常に優れた分析をされていたと思います。1位・2位のチームの戦略は、非常に良かったと思います。特に書店は、戦略変数が限られている業界です。その業界において、色々な打ち手を考えられていた点が勝因かなと思いました。その会社が既に持っている差別化要因は何か。財務のおかれている現状はどうか。前だけを向けばいい状況なのか、過剰負債で銀行の融資が下りない状況なのか、その場合撤退のコストはだせるのか。

実務では色々な制約が多くなります。実際撤退をするときは、その中にいる社員にとって、非常にインパクトが強い。そういうことも実際と同様に、考えて欲しい。実務の難しさも今後ご経験されると思いますが、将来ご活躍されると思いますので、頑張って下さい。


株式会社ドリームインキュベータ

執行役員 島崎 崇 様

本日はありがとうございました。私も10年前には皆様と同じ立場でケースを取り組んでおり、今回のケースコンペティションでは独自の熱量を肌で感じ、見ていて非常に楽しかったです。

講評については、我々の会社は事業創出・新規事業を主としており、その観点から言うと、課題の構造をもう少し理解すると良いのではないかと感じました。課題はあくまで現状であって、その裏に隠されている事実に対してどう捉えるかが問題になります。例えば、なぜ他の書店で買われているのか、また顧客がどのような本を購入しているのかを掘り下げると対処すべきアイデアが生まれると思います。

新しい打ち手を考える際に、上手くいっている会社の事例を参考に、自社のリソースを鑑みて可能であるかどうかを見極める必要があります。これは書店に限ったことではなく、コンテンツ業であったり、店舗業だったり、高齢化している東北エリアにおいて上手くいっているアナロジーを拾うと良いかもしれません。例えば大日本印刷が図書館を買ったり、アマゾンがコンテンツ業を始めたり、多業態とのコラボレーション事例など、技術・環境変化の中からチャンスを覗うことも有用ではないでしょうか。このように多岐にわたる視野から考えていくと、より深いアイデアが創出したのではないかと思いました。


日経ビジネス

副編集長 広野 彩子 様

今回初めて参加させてもらい、大変楽しく拝見させていただきました。皆様の熱の籠ったプレゼンテーションにこちらも勉強になった次第です。

私個人としては新聞社から出版社に来て、現在日経ビジネスオンオンラインに携わってきているわけですが、まさに環境変化の中で出版社がどう生き延びていくかを考えてきた立場で申し上げます。その観点から言うと中央大学専門職大学院が提言していたコンテンツサービスを再定義したプレゼンテーションが一番印象に残りました。


株式会社ニューズピックス

取締役 NewsPicks編集長 佐々木 紀彦 様

本日は色々な観点からプレゼンテーションいただき、本当に楽しかったです。午前のセミファイナルで評価させていただいた一橋大学大学院の皆様が受賞されて私事のように嬉しく存じます。さて私もメディア業界に長く携わっていますが、各プレゼンが提案のレベルにおいて非常高いなと感じました。従って次回は、出版社や新聞社をケース題材にしたものを望みます。

一橋大学大学院から提案にあった子供のための書店については非常に良かったです。子供がテーマなだけに今後もうひとつ踏み込むとすると、紙を媒体にした書物だけではなく、アダプティブ・ラーニング等のデジタルテクノロジーを前提にした話題があれば良かったと思います。ただ、そのテクノロジーを駆使するには、書店のリソースでは不足するはずなので、リクルートなど多業態と提携戦略が入っていると、より面白かったと思いました。

2015年度ケース

東北地方を基盤とする書店ビジネスの再興

1965年創業の仙台を地盤とした老舗の書店チェーンである青葉堂書店がケースの舞台となる。 創業50年の節目を迎えた今年、社員たちに喜寿を祝ってもらっていたその席で、権藤は自らの引退を宣言し、後継社長として石井を指名した。代表取締役社長である石井の立場で、実質的な筆頭株主であり、現会長の権藤に対して、足元の収益改善計画、並びに10年後を見据えた中長期経営計画を説明することがケース課題となる。

産業構造の変化などにより業界全体がシュリンクしていくという成熟期~衰退期において、現在の置かれている環境と、自社の持つリソースに鑑み、今後の生き残りをかけ、かつ将来を展望できるような成長戦略を描く。


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※本ケースの使用は、大会への参加検討、事前予習にのみ許可されるものであり、委員会の許可を得ずに本ケースのいかなる部分の複製・検索システムへの取り込み、スプレッドシートでの利用、またはいかなる方法(電子的、機械的、写真複写、録音・録画、その他の種類を問わない)による伝送は、これを禁ずる。

予選突破資料

グランドファイナルに出場した5チームの予選資料


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早稲田大学大学院 商学研究科 吉田 英樹 チーム.pdf
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グロービス経営大学院 経営研究科 秋田 匡則 チーム.pdf
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