2014年度

概要報告

JBCC2014では、過去最多となる21校151チーム560名の国内ビジネススクールに通う学生がエントリー。協賛企業・団体は合計で11社となりました。7月20日の本選では、予選を勝ち抜いた9チームが慶應義塾大学日吉キャンパス藤原洋記念ホールにてプレゼンテーションを実施。九州を拠点とする学習塾のケースをもとに、白熱した戦いを繰り広げました。

 

見事優勝に輝いたのはグロービス大学院経営研究科の假谷チームです。假谷チームには優勝賞金20万円とトロフィーが送られました。準優勝には一橋大学大学院商学研究科の案浦チームが、ハーバード・ビジネス・レビュー賞には早稲田大学大学院ファイナンス研究科の尾上チームが、そして2014年より新たに設立されたシーバスリーガル18年イノベーション賞にはグロービス大学院経営研究科の柿沼チームが選ばれています。


実施 2014年7月20日(日)
慶應義塾大学日吉キャンパス 藤原洋記念ホール
JBCC実行委員会
経済産業省
参加

予選)21校 151チーム 560名

本選) 6校 9チーム 36名 

来場

約400人

審査協力

経済産業省

特定非営利活動法人日本ターンアラウンド・マネジメント協会

株式会社経営共創基盤

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー

ペルノ・リカール・ジャパン株式会社

特別協賛

シーバス・リーガル

※順不同

一般社団法人日本事業再生士協会

特定非営利活動法人日本ターンアラウンド・マネジメント協会

三優監査法人

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー

株式会社経営共創基盤

株式会社コーポレイトディレクション

株式会社ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン

プラス株式会社ジョインテックスカンパニー

フロンティア・マネジメント株式会社

松本みかん農園

株式会社経営共創基盤

本選の結果

本選出場チーム(登壇順)

学校名 代表者
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 髙橋七恵チーム
グロービス経営大学院経営研究科 森有功チーム
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科 大崎友寛チーム
名古屋商科大学大学院マネジメント研究科 米本明弘チーム
グロービス経営大学院経営研究科 柿沼功チーム
早稲田大学大学院ファイナンス研究科 尾上剛チーム
一橋大学大学院商学研究科 案浦伸顕チーム
グロービス経営大学院経営研究科 藤村希チーム
グロービス経営大学院経営研究科 假谷洋平チーム


受賞チーム

優勝


グロービス経営大学院経営研究科

假谷洋平チーム

準優勝


一橋大学大学院商学研究科

案浦伸顕チーム

ハーバード・ビジネス・レビュー賞


早稲田大学大学院ファイナンス研究科

尾上剛チーム


シーバスリーガル

18年イノベーション賞


グロービス経営大学院経営研究科

柿沼功チーム


審査員の講評

特定非営利活動法人日本ターンアラウンド・マネジメント協会

理事長 許斐義信 様


財務会計、組織、経営管理、倫理、マーケティングなどを束ねて、総合経営として議論する場所がなかなかない。実務的に重要なテーマであるが、学校のカリキュラムにははまりづらい印象がある。そのような意味でJBCCは挑戦する良い場所である。

経営課題をどう設定するかは非常に重要である。直面した現象をベースに本質的問題は何かを意識して欲しい。もう少し突っ込んだ分析があってもよかった。今回のケースでは現象的意思決定はできているが総合的意思決定ができていない社長の可能性があった。

学習塾業界は地域別に競争環境が異なると考える。ネスレのリージョナルマネージャーみたいな人材が学習塾業界にいるはずで、規模拡大、分権と集権の統合に関しての議論があってもよかった。

本質的問題に気づいていない経営者に対してどのように伝えるか、同じようなことをしたら同じ間違いを起こす可能性がある社長に対してどのように防止策を練るか、のポイントは聞いてみたい部分であった。

予選で落選したチームもいい提案があり、非常に楽しむことができた。

特定非営利活動法人日本ターンアラウンド・マネジメント協会

副理事長 稲村榮典 様


予選・本選を通じて参加者が精力的に取り組んでいる姿勢が伝わってきた。会計士出身者として、数字的な部分で詰めることができているチームが多かった。

経営破綻になるとCFが成り立たなくなるが、CFはBSとPLから誘導されて作られており、問題点を探すためにBSとPLを分析する必要がある。

大きな経営破綻にいたる場合、BSに病気的な要素を見つけることができる。過去の結果が今日の結果につながっているので、BSがどのように構成されてきたのかを考えることによって、過去の歴史を読み解くことができる。ここがスタート地点であった。しかしながら、全体の傾向としてBSの検討が弱かったイメージがあった。

株式会社経営共創基盤

代表取締役CEO 冨山和彦 様


今回はローカル型のビジネスモデルで、密度の経済性が支配しているケースであった。本選出場者は的確に捉えていたと考える。また教育という領域は一定の公共性をもち、社会公共性と利益をどのように両立していくかがひとつのポイントとなる。

BSを軽くするためにセールス&リースバックが一般的であるが、金利水準によってはPLが悪くなることに注意が必要である。ポイズン・ピルのようなものになるので注意してほしい。

事業分析をする際に粗利の動向が重要である。粗利を通して多くのことを学ぶことができる。しかしながら粗利を改善するのは難しい。

全体として、基本的な商売設計、収支勘定をどう抑えるのかが今年に限らず弱い。例えば原価の構成を考えれば多くの要素を含んでおり、ぜひ意識してほしい。

経済産業省 経済産業政策局

産業再生課長 河西康之 様


20年ほど前にビジネススクールに通っていた頃に比べて、皆様のプレゼンテーション・スキルは素晴らしく、大変勉強になった。

社会人として一番思うことは、正しいということだけではなんの意味もない。いくら正しいビジネスプランがあったとしても実際に実行しなければ意味がないということ。実行するためにはどうしたらよいかというと、人を説得することである。本選のプレゼンテーションがその場である。今回もプレゼンテーションの前後で順位が大きく変わった。このことは、作り上げたプランの中身とプレゼンテーションで人をいかに説得できたかということは、同じではないということを意味するのである。

仮にベンチャー企業でスタートアップするとしても、お金を調達する際にベンチャーキャピタルや銀行の担当者を説得することが必要であり、非常に重要である。その際、誰を意識してプレゼンテーションをするかが重要である。

経済産業省でいろいろな政策を用意している。本選出場者が今後日本を引っ張っていくことを期待しているので、ぜひ頑張って欲しい。

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー

編集長 岩佐文夫 様


今回3回目の審査となり、自分だったらどのように考えるかを意識して審査を行った。

この限られた情報の中で、ケースの会社の強みを考えることが難しかった。今回のプレゼンテーションを聞いて会社の強みに切り込んだチームが少なかったのが印象である。

HBR賞を受賞したチームは二年連続であった。二年連続で本選出場したことはすごい。

迫力のあるプレゼンテーションは見事であった。


ペルノ・リカール・ジャパン株式会社

マーケティングマネージャー 臼井献 様


初の審査員として参加し、自分がビジネススクールでケーススタディをしていた頃を思い出し非常に勉強となった。

15分という限られたプレゼンテーションの時間でみなさんよく凝縮して話をしており、全体的にレベルが高かった。

ただとんがっているのではなく、現状況を踏まえ、ソリューション・財務を抑え、斬新な切り口があるものがイノベーションであると考える。リスクはあるもののコンティンジェンシーなものであることも評価の要因である。


2014年度ケース

地方を基盤とした学習塾の事業再生

創業社長である森山は、1983年に九州で学習塾「マウントフォレスト学習会」を創業し、20年を掛けて全国展開を果たした。しかし、学習塾市場の飽和、競合との競争激化、少子化、インターネット授業などの新業態の創出など、厳しい経営環境の中で、同社の業績はジリジリと悪化していた。そんな中、9月に迫った社債償還を前に、メインバンクから今後の事業戦略と事業計画の提出を求められた。これを機に同社の成長戦略を見直すべく、社長の命を受けた経営企画室長である大河原が立ち上がった。


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JBCC2014ケース-マウントフォレスト学習会
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